医原性水腎症の左腎摘出
動物情報
スコティッシュフォールド 14歳 避妊済みメス
症状・来院理由
胃腸炎症状
スコティッシュフォールドが胃腸炎症状で来院され、腹部のレントゲン検査を実施した際に左腎の形態異常に気付きました。
エコーで左腎を確認したところ、左腎に液体を貯留したシストが形成されていました。
開腹し左腎を摘出したところ、腎臓の組織はほとんどなく、腎臓として機能しておらず、右腎のみで排泄機能を全うしているようでした。
なぜ、こんなことになってしまったのでしょうか。
レントゲンの画像で体内にヘモクリップが確認できます。
通常血管を挟んで止血する目的で使用されます。
手術歴は他院で避妊手術をされたとのことなので、それの残置位置から避妊手術時に卵巣動静脈をヘモクリップで止血したと推測できます。
その際、尿管を誤って血管と一緒に絞扼したと推察できます。
左腎を摘出する際、尿管を膀胱に近い部位で結紮し腎臓と共に切除するのですが、このヘモクリップが尿管を絞扼しており、尿が膀胱へ流れない状態になっていたのが確認できました。
そのため左腎に尿が貯留し水腎となり、組織が壊死したのだと考えられました。
当院ではヘモクリップを使用することはほとんどありませんが、このようなことを決して起こさぬよう、十分注意して使用しなければならないと改めて思いました。